古今大角力最高成績者鑑 凡例

「場所」
 本場所の開催年月である。番附記載ではなく、実際に興行の初日が属する月とした。
 月を跨いだ興行の場合、旧版では過半数が属する月で記載したが、令和5(2023)年の改訂により初日が属する月で統一した。
 なお、昭和30年代の名古屋場所は6月から始まり、過半数が6月に属することから“6月場所”とすべきだが、
場所の公式名称が「七月場所」なので、「名古屋場所=7月場所」で統一した。

「番附地位」
 東西と三役は地位、平幕は「前頭○」と表記(「枚目」は省略、筆頭は「1」とする)。
 地位表示がある張出は「張出大関」などと地位も表記するが、地位表示がない張出は「張出[大関]」のように「[ ]」で推定地位を併記。
 同地位の張出が複数いる場合は「張出大関 1」、張り出されず枠内に書かれた三役は「大関 1」のように表記。
 張出がいる場所で枠内の力士が優勝した場合、たとえば「東大関」だけだと大関が方屋に1名なのか2名以上なのか分からない。
そこで、「東正大関」のように表記した。
 最後尾に「格」と付いているのは番附外。
 昭和8(1933)年1月の「別席」は、脱退から復帰した力士が記載された別番附の力士。
数字は脱退前の番附による並び順で、幕内格・十枚目格以外の序列はない。
 大阪・京都ではほかの団体を招いて合併本場所が行なわれており、その場合は地位の前に“○○方”と記した。

「しこ名」
 原則として番附記載の表記とした。ただし、番附の書き手によって文字が変わったり、「右衛門」→「右エ門」のように必ず省略される文字もある。
「衛(衞)門」は実際に漢字で書かれる例は少なく、「エ門」が「衛門」であるか「衞門」であるかは分からないため、「エ門」で統一した。
 現在と違って、表記ゆれや本人の意向にかかわらず用いられた文字が少なからず存在する。
年寄名跡のページと異なってしまうが、「三杉礒」は「三杉磯」とした。
また、昭和26年までの「東冨士」は「東富士」に統一した(昭和27年より各力士の「冨」が「富」に変わり、「f」が「昇」に変わったが改名ではない。
したがって、もとから「富」や「昇」であったとした)。
 太文字は本表認定の最高成績者。各場所にひとりずつである。

「優勝」
 同じような欄が3列続くが、一番左に位置するのがメインの優勝回数である。空欄は同点者ということになる。
 優勝の判定は、明治42(1909)年6月以降は現在公認されている力士。
それ以前は、最多勝ち越し点(勝から敗を差し引いた差=13勝2敗は「11」と数える)の力士を“優勝相当”とした。
 勝ち越し点は分け・預り・無勝負・大正までの休みは除外。不戦勝制度ができてからの休場は負けとして数える。
 「最多勝ち越し点」が複数名いる場合は番附上位力士を“優勝相当”とした。
東西同地位で並んだ場合、明治42年までは東西の優劣という考え方はなかったため、前場所の番附上位者(全場所も同地位の場合は成績が良かった方)を“優勝相当”とした。
 旧版まで用いていた直接対決の判定は廃止した。それにより、旧版と優勝力士や同点者が変わった場所がある。
 赤地に白数字は、最後の回数。現役力士は更新の可能性があり、こちらは白地に赤数字で示した。

「同点」
 相星力士が2名以上の場合に記載。相星の定義は勝ち越し点とした。
 昭和21(1946)年11月までは番付上位力士優先なので「上位」「下位」、昭和22(1947)年6月の優勝決定戦実施以降は「勝抜」「敗退」とした。

「成績」
 優勝・同点者の成績を示す。勝敗のほか、「分」=引分・「痛分」=痛分・「預」=預り・「無」=無勝負を示す。
明治42年までは千秋楽に幕内力士が出場しない慣例があったが、それらは休場に含めない。
 旧版で優勝・同点者の判定に用いた“陰星”については、星取表などからは判然としない点から考慮せず、預りは通常の預り扱いとした。
 それにより、旧版と優勝力士や同点者が変わった場所がある。

「備考・改名」
 掲載力士にかかわる改名を記載。「のち」「もと」に続くしこ名は次の登場時の改名、「のち」がないしこ名は表中に登場しない改名を示す。
 東西同地位の力士が相星で並んだ場合、優勝判定の理由を「※前場所上位」などと記載した。

「番附上の開催地」
 番付面で確認できる興行地を記載。「深川八幡」「深川八幡宮」、「社地」「御社地」「社内」といった表記ゆれもそのまま記載している。
 全体が赤字は番附面で未確認、一部赤字は番附に記載されていない地名等を補正したことを示す。
昭和初期の関西本場所は、初期を除いて番附地位は前場所(東京場所)と同一だが、番附は発行されていた。全体の赤字は番附未確認を示す。
 昭和20年夏は5月に明治神宮外苑相撲場で開催予定だったが延期となり、6月に国技館で開催された。
「番附上の開催地」だけだと実際の興行場所が分からなくなるため、赤字で国技館を付記した。
 旧字体は新字体に統一した。実際には国技館はすべて「國」技館(舘)と記載されている。蔵前は「藏」と「蔵」が混在。
愛知県体育館は「縣」、福岡国際センターも「國」の字で記載されている場所がある。
 現在の地方場所は住所も記載されている。住所と施設名の間はスペースを空けた。
 施設名の表記ゆれやネーミングライツも番附上の表記を優先した。一例として、大阪府立体育会館は正式には以下のようである。
 昭和27(1952)年 大阪府立体育館
 昭和62(1987)年 大阪府立体育会館
 平成24(2012)年 BODY MAKERコロシアム
 平成27(2015)年 エディオンアリーナ大阪

旧版と対象力士が変わった場所について
 文化11年4月 揚羽と柏戸の優勝・同点を入れ替え(揚羽の回数1→0回、柏戸15→16回)
 明治19年5月 大達と劔山の優勝・同点を入れ替え(大達の回数5→4回、劔山0→1回)
 明治26年5月 今泉を同点者にし、小錦を追加して優勝力士に(今泉の回数1→0回、小錦6→7回)
 明治30年1月 鳳凰を削除、荒岩を優勝力士に(鳳凰の回数4→3回、荒岩5→6回)
 大正6年5月 同点者に大潮を追加

制作・著作:紅葉橋律乃介(momijibasi@yahoo.co.jp) 優勝入口へ 銀河大角力協会へ行く

令和五年二月十四日改訂
平成十六年十一月十四日作成

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